失敗に学ぶ企業のSNS炎上事例
企画意図が伝わらず炎上

「午後の紅茶」(キリンビバレッジ)のTwitter企画が炎上(2018年4月26日)
キリンビバレッジがTwitterの公式アカウントに投稿したイラスト「#午後ティー女子」に対し、消費者から「顧客を悪く描いて何が楽しいのか」といった戸惑いや怒りの声が続出し炎上した事例です。
※参考書籍「SNS公式アカウント運営者のための企業の信頼失墜を防ぐ法的リスク・炎上対策」(小山博章(弁護士)編著、第一法規)
※参照元HP:イマジナ「炎上の先にある、ブランドイメージの回復」(https://www.imajina.com/brand/entry/361)
消費者の反応
- 「午後の紅茶を買っている女性を馬鹿にしているようにしか見えない」
- 「イラストを見て不快になり、正直買いたくなくなりました」
- 「企画段階で誰もストップをかけなかったのが理解できない」
炎上後
投稿から5日後に公式Twitterで謝罪し、投稿を削除しましたが、炎上後も批判が収まらず、再び炎上しました。
キリンビバレッジでは、この炎上を機にチェック体制を強化。インターネット関連の企画は「デジタルマーケティング部」のチェックを必須とし、消費者の目線に立った企画づくりに注力しているとのこと。
失敗を乗り越え、「午後の紅茶」は今も多くの人に愛されています。
編集部の視点
同製品に親しみを感じてもらうための企画だったそうですが、消費者に伝わらず、残念な結果になってしまった事例です。
SNSを活用した企画は大きな注目を集められる反面、予期せぬ炎上を生むリスクもあります。
ドミノ・ピザの「架空商品」を使った需要調査に客困惑(2022年06月01日)
ドミノ・ピザが需要予測のために、架空商品をメニューに掲載し、消費者の反応を調査。同社のHPで実際にピザを購入しようとした消費者から「紛らわしい」「分かりづらい」といった苦言が続出しました。
消費者の反応
- 「選び直しの手間が生じて苛立ちを覚えた」
- 「このような調査手法は消費者のことを考えておらず不快に感じる」
- 「ニーズ調査であるのなら最初から注意書きを入れておくべき」
炎上後
この調査の趣旨について、ドミノ・ジャパンの広報では「このような手法は最近アメリカでも採用されており、顧客へ最高の商品やサービスを提供する目的で行っている」と説明しています。
改善に関しては現在の所未定となっています。
編集部の視点
「架空商品」掲載の趣旨が上手く伝わらず、消費者の誤解を生んでしまった事例です。
商品やサービスの品質向上のために行っていることでも、消費者に意図が伝わなければ思わぬ所でトラブルが生じることがあります。
炎上を防ぐためには、炎上を起こさないルールづくりや、従業員1人1人のWEBリテラシーの向上を図ることが大切です。
タレントの不祥事で炎上

人気俳優が不倫で炎上(2020年1月30日)
女優の杏さんが妊娠中に、夫で俳優でもある東出昌大さんの不倫が発覚。各メディアが連日不倫騒動を取り上げたことで、大勢のファンや視聴者からバッシングが噴出する事態にまで発展しました。
※参照元HP:ダイヤモンドオンライン「東出不倫への異常なバッシングは、日本の『ゆがんだ教育』が招いた」(https://diamond.jp/articles/-/227256)
※参照元HP:週刊女性PRIME「“やらかし”芸能人たち「違約金」算定方法」(https://news.line.me/articles/oa-shujoprime/4c237dbb9347)
消費者の反応
- 「奥さんが妊娠中に不倫なんてありえない」
- 「仲睦まじいおしどり夫婦のイメージが崩れ、がっかりした」
- 「不倫相手の女優が自身のSNSで匂わせていたのが不快に感じる」
炎上後
不倫発覚後、東出さんは謝罪会見を開きましたが、事態は収束することなくマスコミの過熱報道は続きました。
また、社会からのバッシングだけで済まされず、CM4社の違約金など約2億円を支払ったと言われています。
編集部の視点
日本人の国民性から「個人の勝手な振る舞い」に対して厳しく批判する傾向があることから、不倫などの非道徳的な行いは大きく炎上するリスクをもっています。
タレントの炎上により企業のブランドイメージを損なうことのないよう、イメージキャラクターなどに著名人の起用を検討する場合は、事前調査を徹底するといったリスク対策が必要です。
担当者がふざけすぎて炎上

不適切な情報発信で企業公式アカウントが炎上(2020年11月)
アツギとタカラトミーがそれぞれTwitterの企業公式アカウントに投稿した情報に、フォロワーから「不適切な性的表現を含んでいる」と指摘が続出。
担当者の「悪ノリ」による行き過ぎた表現が炎上を招きました。
※参照元HP:ダイヤモンドオンライン「アツギとタカラトミー、企業公式アカ炎上を招いた『勘違い』の原因」(https://diamond.jp/articles/-/253386)
消費者の反応
- 「成人男性向けのイラストを企業PRに使うなんて不快に思う」
- 「ウケを狙ったんだろうけど、やりすぎである」
- 「ハッシュタグの内容が子供向け玩具メーカーとしては不適切だ」
炎上後
炎上を受けて、アツギは翌日に謝罪文を掲載し、公式アカウントの運用を当面中止することを発表しました。
また、タカラトミーも同様に「表現に至らぬ点があった」として謝罪をし、投稿内容の見直しがされているようです。
編集部の視点
SNSでのウケを狙うあまり、自社の顧客層に理解されにくい投稿をして、炎上した事例です。
投稿前のチェック体制などがない場合、SNSを管理する担当者1人が判断を誤るだけで即、炎上します。
投稿内容に問題がないかを事前にチェックするサービスなどを利用し、炎上リスクに備えましょう。
また、投稿内容に問題があることに気づけるような社風づくりも重要です。
社内ルールの構築や従業員教育といった「炎上予防」も検討し、リスク管理を徹底しましょう。
フェイクニュースで炎上

SNS上のデマ情報によって商品の不買運動に発展(2021年8月)
「ワクチン入りトマトの開発計画が始まった」とSNS上にデマ情報が拡散。
計画に携わっているとして一部の企業名も記載されていたことから、反ワクチン派の人たちから商品不買の呼びかけが起きる騒動にまで発展しました。
※参照元HP:「『ワクチン入りトマトが出回っている』、関与疑われたカゴメやカルビー『デマ』と否定」(https://www.bengo4.com/c_23/n_13447/)
消費者の反応
- 「コロナワクチンが入ったトマトなんて購入したくない」
- 「開発に関わっている企業の商品は今後買うのを控えたい」
- 「ワクチン入りのトマトが開発されているって本当?」
炎上後
デマ情報に名前が記載されてしまった企業の内、カゴメは「そのような事実は一切ない」とワクチン入りトマトの開発を否定。
またカルビーは「情報が誤って発信されてしまった」とコメントしました。
他の企業も「そのような計画には関与していない」とデマ情報を否定しています。
大手企業がしっかりと情報発信を行ったことで、メディアにも取り上げられ、沈静化されました。
編集部の視点
フェイクニュースを信じた一部の消費者が不買運動を呼び掛ける事態に発展したケースです。
デマ情報が思わぬ事態を招いてしまうことがあるため、日ごろからSNS上の投稿を監視(モニタリング)する必要があると言えます。
企業のSNSでの発信が炎上する理由
運用担当者・従業員の炎上リスクの理解が不十分
企業のSNSが発信した内容によって炎上した場合、往々にして当該企業のSNS担当者がそもそもネット上のマナーを把握していなかったり、SNSの仕組みについて不勉強であったりと、知識や理解の不足が原因になっています。
例えばネット上のマナーとして使ってはならないワードを使ってしまったり、知らず知らずのうちに特定の人種や性別、国籍といった属性に対する差別的な発言をしてしまったりと、炎上の理由となるきっかけは様々です。
また、SNSを企業のプロモーション活動の一環として理解していたとしても、その拡散力や仕組みをきちんと把握していないことが原因で、ついついチェックをおろそかにしてしまい、事実に気づいた時には手遅れといったケースも少なくありません。
その他、SNSごとの文化やニーズ、利用している客層といった違いもあり、一つのSNSでは問題にされなかったような発信でも、そのまま別のSNSへ流用することで炎上リスクが増大するといった可能性もあるでしょう。
検知が遅い・対応が遅い
SNSの拡散力は非常に強力であり、さらに炎上が進めば進むほど加速度的に広がっていくといった点が特徴です。
一方、最初に問題視され始めた際はごく小さな範囲やユーザー間でのやりとりといった場合も多く、自社のタイムラインや投稿にまで反映された時にはすでに炎上の規模が大きくなってしまっている状況も珍しくありません。
加えて、どうせ一過性の問題だろうと甘く見て対応を遅らせた結果、他の話題や投稿にまで延焼してしまう恐れもあります。
初期対応や二次対応を誤る
炎上していると理解しても、初期対応や二次対応を誤ると火に油を注ぐ結果になります。
例えばSNS担当者の言葉づかいやワードの選択ミスが原因で炎上してしまった場合、誠実かつ適切な謝罪文の投稿や企業対応をアピールできなければ、「問題を軽視している」と一層にユーザーや消費者の不快感をあおることにつながりかねません。
また、下手に謝罪して問題が拡大してはいけないと無視した結果、やはり不誠実な企業対応だとして反感を強める恐れもあります。
初期対応や二次対応については常に同じ方法を機械的に選べば良いというわけでなく、それぞれの炎上理由や炎上の傾向といったものを的確に把握した上で、適切な対処法を選択することが重要です。
SNSでの企業の炎上の種類
広告や企業活動の炎上
SNSのアカウントを利用して企業活動を行ったり、広告したりして炎上するケースがあります。テレビなどのCMで起用されたタレントに批判が集まったり、企業の発信内容が批判されたりなど、SNSアカウントの発言は予期せぬところで批判に繋がります。
企業の多くがSNSで公式アカウントを持っていますが、公式アカウントの言動は注目度が高く、誤爆や不適切な発言に対するフォロワーの目は厳しいです。特に差別的な発言や能動的な発信は批判が集中しやすいでしょう。
紙媒体やCMだけでなく、Web広告を主軸に広告を展開する企業は増えています。web広告は人々の目につきやすい一方で、表現の仕方に気を付けなければなりません。ジェンダーに関する内容を掲載するなど、デリケートな内容を扱うときは細心の注意を払うのが大切です。
従業員の不適切な振る舞い
現代人の生活に広く普及しているSNS。従業員もプライベートでSNSを使用している場合が多く、プライベートアカウントでの発言が原因で企業のブランドイメージが傷つく可能性があります。企業で取り扱っているお客様の情報をSNS上に流出させたり、コンプラ意識を疑われるような発言をしたりなど、従業員の発言も炎上の要因になるのです。
上記のような事態が起きるのは、従業員のソーシャルメディアに対する認識が甘いのも原因のひとつです。従業員による不適切な投稿は軽い気持ちで行われている場合が多く、世間に見られている自覚がなかったり、社会常識がなかったり、機密情報の重要性を理解できていなかったりします。
そのような事態を防ぐには、SNS研修などを行い教育するのが得策です。トラブルが起きる前に従業員のコンプラ意識を高め、SNSを正しい利用法を身に着けてもらいましょう。
SNSでの企業の炎上対策とは
企業の公式SNSの運用ルールを定める
最初にSNS運用に関する社内ルールやマニュアルを明確化しておき、もし炎上した場合における対処法も含めて、誰がSNSを担当しても品質が変わらない状態を構築しておくことが大切です。また、SNSの常識やマナーについても勉強しておきます。
運用担当者・従業員向けのソーシャルメディアポリシーを定める
SNSの運用に慣れてくると、どうしても担当している従業員の個性が反映されがちです。しかし、個人の思想や表現スタイルが必ずしも企業イメージにマッチするとは限りません。そのため、各担当者に向けたソーシャルメディアポリシーを定めて徹底させることも大切です。
研修を実施する
どのような発信や投稿に炎上リスクがあるのか、炎上に気づいた場合はどう対処するのか、また日頃から炎上の種を早期発見するためのどのような点に意識しておくべきかなど、SNSの運用に関して専門家や経験者を招いた研修や勉強会も有効です。
SNS上のモニタリングを実施する
自社のSNSの発信や投稿がユーザー間でどのように受け止められ、どの程度の範囲や規模まで拡散・影響しているのか、定期的なモニタリングによって実状を把握することが欠かせません。またモニタリングはプロモーション戦略にも役立ちます。
SNS炎上の火種を発見した後の危機対応フローを構築する
もしもSNS上で炎上しそうな危険性や、すでに発生してしまった炎上の火種などを見つけた場合にどのような対処を具体的に進めるべきか、危機対応フローを構築しておき、担当者間だけでなく社内全体で共有しておくこともリスクマネジメントの一環として必要です。
なお、危機対応フローは社外的な対応をまとめたものだけでなく、社内向けのものも合わせて作成しておき、企業全体で足並みをそろえた対応をできるように備えておくことがポイントとなります。
企業の公式SNSが企業した際の対処法
炎上状況の確認
まずはどの程度の範囲や速度で炎上が続いているのか、また特にどのようなユーザー間や理由で炎上が広がっているのか、的確に状況をチェックして冷静に事態を把握することが必要です。
初期対応の誤りによって炎上が悪化してしまうケースは、しばしば最初の理解が不足しており、適切な対応を行えないことが原因になりがちです。
正確に状況を把握して分析するからこそ、迅速かつ効果的な対策を進めていくことができます。
レピュテーション回復の道筋を立てる
レピュテーションとは、企業イメージやブランドに対する評判など、ユーザーやカスタマーによって抱かれている企業や団体などへの印象です。
企業のSNS投稿やネット上の発言などが原因で炎上してしまった場合、速やかに鎮火して解決させることができたとしても、レピュテーションの悪化やマイナス影響をゼロにすることは困難です。
そのため、速やかにレピュテーション回復の道筋を立てて、多角的な対策やアプローチで消費者からの信頼回復を目指すことが必要となります。
なお、レピュテーション回復のためのプランニングをする場合、自社の主観だけで判断するのでなく、必ず客観的にどう見られているのかという第三者目線での検討も行うようにしてください。




